善福寺地域のアートの新しい伝統をつくりあげる心意気で
「トロールの森2012」実行委員会 代表 野田栄一
都立善福寺公園を舞台にした野外アートイベント「トロールの森」も11年目。これまで運営の中核を担ってきた遊工房アートスペースから、今年はアーティストと地元の有志で構成する実行委員会で、企画からアーティストの選定、都や公園との交渉など、アート展の開催に必要な事務作業その他一切を担当することになりました。
これまでアートと関わりのない地元の私が代表を仰せつかったわけですが、単なる町おこし的なアートイベントとしてではなく、これまで積み重ねてきた野外アート展としての実績をふまえ、現代に生きる私たちにとっての地域とアートとの新たな関係をつくりだしていくアート展としたいと考えています。
「トロールの森2012」の新たな展開にご期待ください。
普段着で感じる現代アートの魅力を発信
アーティスト部門統括 井上幸次郎
「トロールの森」には2010年から関わり、パフォーマンスの舞台とアート展のシンボルともなる塔のアート作品の制作に携わりました。今年から「トロールの森」のアート関連の企画をアーティストの自主組織で推進していくことになり、微力ながらお手伝いできればと、15人のアーティストと事務局のつなぎ役を担当することになりました。
杉並区の西の住宅街の真ん中の公園での現代アート展は、都心の画廊やスタジオとも、里山などの自然の広がる場所とも違う環境にあります。普段着のまま散歩するなかで出会う現代アートは、いつもの公園に違う輝きをもたらすでしょう。私たちアーティストにとっても、さまざまなふれあいが待っています。
こどもからご高齢の方まで公園を訪れるさまざまな方に現代アートの魅力を感じていただければと思います。
秋の公園で演じる心地よさ
パフォーマンス部門統括 渡辺眞千子
「トロールの森」にパフォーマンスがラインナップされて3年目。今年は、これまでのパフォーマーに加えて、この地域にお住まいの舞踏家の大坪光路さんが参加してくださることになりました。アート作品でもあるステージJoy’nで、舞踏やパントマイム、音楽劇が上演され、上池の周りでは地域の歴史に思いをはせながら吟遊詩人の歌声に耳をすます・・・。日曜と祝日を中心に行われるパフォーマンスは、ラジオ体操や気功、ランニングやストレッチとはまた別の身体表現に出会う場所です。自然光のみのライティング、音響も不十分な環境ですが、戸外の舞台のなんとわくわくすることでしょう。この感覚をぜひみなさんに味わっていただきたく、どうか雨が降りませんように!
こどもたちとの出会いを通じて生まれるアート作品にも注目を
桃井第四小学校 本永 安芸夫
桃井第四小学校では2005年から「トロールの森」にかかわってきました。「春のトロール」として4年生がアーティスト・篠原有司男氏とともにつくった作品を善福寺公園下池に展示したのを皮切りに春の野外展が恒例行事に。2007年からは毎年、秋の「トロールの森」の観賞授業を行っています。そして昨年は全学年がアーティストと交流する特別授業を展開し、作品を一緒につくったり、こどもたち自身が作品の一部になったりと、関係を深めました。こうした活動の結果、こどもたちにとってアーティストは、善福寺公園で作品をともに展示しあう仲間のような存在になっています。彼らにとってアートは美術館の中で観賞するものではなく、からだの感覚を全開にして表現するものであり、コミュニケーションから生まれる生きるエネルギーです。
2012年も1年生から6年生までがアーティストとのワークショップやコラボレーションを行います。こどもたちとの出会いを通じて生まれるアート作品にもご注目ください。